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【H27、回答例】外部拘束による温度ひび割れ発生メカニズムと抑制方法2つとその留意点【技術士・建設部門 コンクリート Ⅱー1-7】


 こんにちは、masaです。技術士二次試験の対策として過去問の回答例を準備するということをしています。回答例集はこちらからどうぞ。

 なお、内容については独断と偏見まみれのため、自己責任により参考にしていただければと思います。

 内容については、もっといい回答が思い浮かんだら変更したりします。

 

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問題文(原文)

「Ⅱー1ー7 コンクリート構造物に発生するひび割れの1つにセメントの水和熱に起因する温度ひび割れがある。外部拘束が卓越する場合の温度ひび割れ発生のメカニズムを説明し、そのひび割れを抑制する具体的な方法を2つ挙げ、それぞれについて留意点を述べよ。」

 

(1)温度ひび割れ発生のメカニズム

 水和熱の発生に伴い、コンクリート表面部が収縮しようとするのに対し、既設コンクリートなどの拘束体が外部拘束することによって引張力が生じ、ひび割れが発生する。

 

(2)ひび割れ制御

①パイプクーリングの実施

 コンクリートが打設される部分にあらかじめパイプを設置し、コンクリート打設時に冷却することでコンクリートの最高温度を軽減する。

 冷却水の温度はコンクリート温度よりも20度以上小さくならないように留意する。最高温度後の通水は急激な温度変化によってひび割れを発生させる恐れがあるので留意する。

 

②リフト高さの検討

 打設コンクリートの総水和熱量を抑制するために一度のリフト高さを検討する。目安は1.5m~2.0m程度とする。

 工程遅延によって費用がかさむため、ひび割れが発生しない範囲で最小のリフト高さになるように検討する。

 

解説(と思っています。)

外部拘束ひび割れのメカニズム

 温度上昇時は拘束部は体積変化せず、拘束されていない部分は膨張する。拘束部には圧縮力が作用するが、圧縮には強いのでひび割れが発生しない。

 温度降下時は拘束部は体積変化せず、拘束されていない部分は収縮する。拘束部には収縮力が発生し、引張に弱いのでひび割れが発生する。

 

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参考文献:

http://www.asahic.co.jp/doc/cracking-mechanism.pdf

 

 回答例では施工系の対策をまとめていますが、材料系の対策としては①低発熱セメントを用いる、②単位セメント量を低減するといった対策があります。①、②のいずれの方法についても強度発現に留意する必要があり、基準材齢を長くとるなどの対策が必要です。

 物理的な対策としては、保温性の高い木製の型枠を使用し、型枠を外した後も表面部を急冷しないようにシート等で養生を継続するといったものもあります。

 

 内部拘束によるひび割れやその他初期ひび割れについてはこのページでまとめています。

 その他の問題の回答例はこのページでまとめています。