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【H28、回答例】作用荷重増大による損傷に対する耐荷力向上を目的とした補強について【技術士・建設部門 コンクリート Ⅱー2-4】


 こんにちは、masaです。技術士二次試験の対策として過去問の回答例を準備するということをしています。回答例集はこちらからどうぞ。

 なお、内容については独断と偏見まみれのため、自己責任により参考にしていただければと思います。

 内容については、もっといい回答が思い浮かんだら変更したりします。

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問題文(全文)

「Ⅱ-2-4 供用中のコンクリート構造物において、作用荷重の増大又は外的作用力に起因すると考えられる損傷が発見され、耐荷力の回復又は耐荷力の向上を目的として早期に補強する業務を行うことになった。この業務を担当するに当たり、下記の内容について記述せよ。

(1)想定したコンクリート構造物とその損傷状況を示し、損傷状態の把握、補強対策のために調査すべき項目

(2)調査から補強対策実施までの業務手順とその内容。ただし、補強は当該コンクリート構造物を複合構造化して行うものとする。

(3)複合構造化に当たり設計・施工上留意すべき事項」  

 

(1)想定したコンクリート構造物、損傷状態、損傷状態の把握、調査すべき項目

 橋脚コンクリートを構造物として想定する。損傷状態は、橋脚の水平方向に線状のひび割れが発生しており、目視で確認できるものだった。損傷状態の把握を目的とし、クラックスケールでひび割れ幅を、超音波によりひび割れ深さを測定する。ひび割れに伴い鋼材の腐食の可能性も考えられるためフェノールフタレイン溶液噴霧による中性化の確認およびコア採取による塩化物イオン量による塩害の確認を行う必要がある。中性化については最も環境の厳しい表面を調査し、塩害については表面・内部のいずれかが必ず厳しい環境とならないため表面から中心にかけて均等に調査を行う。(16行)

 

(2)実際に補強を行う際の手順と内容

 ひび割れ以前の性能の回復という観点でひび割れ補修工法とし、調査を受けて河川内で作業範囲を少なく施工でき、かつ、耐荷力向上を目的として鋼板巻立て工法とする。手順としてはひび割れ補修工法により既設コンクリート面の能力を復元し、既設コンクリート面を散水し、一体化不良のないようにし、鋼板を巻立て、隙間部を注入材により充填していく。(10行)

 

(3)複合構造化に当たり設計上、施工上留意すること

 設計上の留意点は注入材が確実に注入されるような断面寸法、高さ、流動材の流動距離を確保すること、現場と設計の相違が生じることを想定し、構造計算上影響のない施工誤差を明示することが挙げられる。

 施工上の留意点は断面寸法が守られるように鋼材の設置位置を確認し、作業中に移動しないように留意すること、注入材が確実に注入されるよう木製ハンマーで鋼材を軽打することが挙げられる。(12行、全38行)

 

解説(と思っています。)

①ひび割れに併発する不動態皮膜の破壊による鋼材腐食を想定

 不動態皮膜は塩化物あるいは中性化により破壊されるため、この二つについて検査するように書きました。

 塩化物の基準はコア採取後に測定した塩化物濃度が1.2kg/m3より大きい、中性化の基準はフェノールフタレインで無色になるとなっています。

 

②鋼板巻立てで固定して考えた

 耐荷力向上として鋼板巻立て工法に絞って考えました。RC巻立てでもなく、FRP巻立てでもない理由は、実施工を鑑みると鋼管巻立ての方が品質管理が容易かつ、(高価かもしれませんが)断面性能を発揮しやすいと思ったためです。

 

③留意点は調べたものを書いた。

 巻立て工法の経験がないのでネットで調べた留意点などを書いています。注入材が確実に注入されるよう木製ハンマーで鋼材を軽打することが挙げられるなどは一般的なコンクリートの留意点と相違がないですが、確かに重要なことなので採用しています。

 

おわりに

 世の中一般で重要とされている写経(用意した回答をそのまま回答用紙に書き写すこと)をするつもりはないですが、頻出の過去問については回答例を用意しておこうかと思います。

 繰り返しになりますが、独断と偏見まみれの回答例を作りましたので、自己責任により参考にしていただければと思います。

 

 その他の回答例集はこちらからどうぞ。