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【H29・耐震補強、回答例】設計図面のないコンクリート構造物の耐震補強【技術士・建設部門 コンクリート】


 作用荷重増大による損傷に対する耐荷力向上を目的とした補強についてに続いて回答例を書いていきます。

 繰り返しになりますが、独断と偏見まみれの回答例を作りましたので、自己責任により参考にしていただければと思います。

 内容は順次変更する予定です。

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 (1)想定したコンクリート構造物、注意すべき部材の破壊形態、目標とする耐震性能と照査方法

 橋脚コンクリートを構造物として想定する。注意すべき部材の破壊形態は、脆性的なせん断である。目標とする耐震性能は大地震(=建築物の存在期間中に一度遭遇する可能性がある震度7の地震)時に、倒壊、崩壊しないこととする。照査方法は大地震による入力地震動と構造物の保有水平耐力(部材の強度、靱性、形状指数、既設部分の劣化の度合から算出)を比較し、入力地震動よりも上回っていることを確認する。(13行)

 

(2)構造物の復元方法、必要な調査項目

 前記のように入力地震動と保有水平耐力を比較し、差分について補強する必要がある。

 ただし、既設コンクリートの劣化の度合により、既設部をどの程度構造体とみなせるかが変わってくる。

①コンクリート:現状のコンクリートの持つ能力を確認するため、コア抜きを行い、圧縮強度を行う。また、ひび割れの有無を目視にて確認を行う。

②鋼材:鋼材の腐食は不動態被膜の破壊により進行し、不動態被膜は塩化物と中性化により破壊される。そのため、コア抜き・粉砕により塩化物量を、フェノールフタレイン溶液噴霧により中性化の有無を測定する。(15行)

 

(3)補強の手順、補強工法の設計上、施工上の留意点

 耐震性能向上に効果が高い鋼板巻立て工法を用いる。手順は既設コンクリート面を散水し、一体化不良のないようにし、鋼板を巻立て、隙間部を注入材により充填していく。

 設計上の留意点は現場と設計の相違が生じることを想定し、構造計算上影響のない施工誤差を明示することが挙げられる。

 施工上の留意点は断面寸法が守られるように鋼材の設置位置を確認し、作業中に移動しないように留意することが挙げられる。(12行、全40行)

 

解説(と思っています。)

①目標とする耐震性能に向かうまでの流れ

 基本、全ての構造物で段階に壊れる曲げ破壊ではなく、一気に、脆性的に壊れるせん断破壊を防ぎたいところです。そうなったときに確認するのが保有水平耐力。簡単にいうと建物が有している断面性能っていう感じです。記述の通り、保有水平耐力は材料の強度、靭性(=粘り強さ)、形状のよさ(=縦長だったり、偏心していたりすると壊れやすいです。)、劣化の度合いによって変わってくるので建物のもつ保有水平耐力を計算し、それと作用荷重である入力地震動と比べるといった手順です。

 

②必要な調査

 経済性や施工量に伴う工期という観点で最小補強量としたいので、既設部分がどの程度健全か調べる必要があります。

 コンクリートは強度がどの程度あるか、鋼材は腐食しているかどうかといった具合です。ただし鋼材量は非破壊検査で調べることはできない(と僕は思っています。)のでコンクリートは安全係数を掛けて活かす、鋼材部分は無筋とみなすが一般的な対処だと思います。

 

③耐震補強なら鋼板巻立て

 コンクリート診断士のテキストを見ると鋼板巻立てが耐震補強に効果ありと書いてますし、コンクリートにくらべて鋼材はどう考えても強度(コンクリートより降伏点強度、終局強度が高い)・変形性能(コンクリートより終局ひずみ・変位が大きい)も高く、曲げ・せん断に対して効果的な補強になるので鋼板巻立てで問題ないと思います。

 

 

 留意点はインターネットで文献を当たって調べてみました。

設計上の留意点
  • 注入材が確実に注入されるような断面寸法、高さ、流動材の流動距離を確保すること
  • 現場と設計の相違が生じることを想定し、構造計算上影響のない施工誤差を明示すること

 

施工上の留意点
  • 断面寸法が守られるように鋼材の設置位置を確認し、作業中に移動しないように留意すること
  • 注入材が確実に注入されるよう木製ハンマーで鋼材を軽打すること

 

おわりに

 耐震補強関係の問題は、基本こんな感じで①鋼材は不動態被膜の生存確認として中性化していないこと、塩化物イオン濃度が低いことを確認する、②補強方法として鋼板巻立て工法を採用する、ということを書こうと思います。

 繰り返しになりますが、独断と偏見まみれの回答例を作りましたので、自己責任により参考にしていただければと思います。