こんにちは、masaです。技術士二次試験の対策として過去問の回答例を準備するという作業をしていますが、だいたいの論文で汎用性の高い文章があることに気付き、その文章があることで説得力が高まったり、前後の文章の繋がりが良くなったりするので、「これは覚えておこう」と思いまとめています。
以下にその文章群をまとめておきますが、僕はその文章をできる限り暗記して、絶賛活用して合格したいなと考えている次第です。
順次追加・整理していこうとおもっています。
作業者・人手不足
労働環境悪化による人手不足
- コンクリート構造物は、建設躯体工事(とび工・鉄筋工・型枠工)などの異なる技術者が必要となる労働集約型作業である。
- 建設躯体技能者は社会資本投資の縮減による賃金の低下や休日が少ないことなど労働環境悪化により減少し、生産力の低下が問題となっている。
定年(離職)による人手不足
- 現在、約340万人いるとされている建設技術者は今後10年で約100万人離職するとされている。
技術力の確保
熟練技術者が離職することで、熟練技術者の持つ技術が失われる恐れがあるため技術力を確保するための制度を取り入れる必要がある。今後、実施できる制度としては①OJTとOFF-JTの組合せ、②ナレッジマネジメントがある。
OJTとOFF-JTの組合わせによる効果とデメリット
従来、OJT(実務を通した学習)をひたすら繰り返すことで技術力を向上させていたものの市場の縮小により実務自体も少なくなったため従来の方法を実施することができなくなったという背景がある。
OJTによって実際の仕事の流れを体験することで理解が促進でき、OFF-JTによって仕事の基礎や目的を体系的に学習することができる。両者を取り入れることで相互補間的な作用により効率よく技術力を高めることができる。
デメリットはOFF-JTを行う教育システムや人材を持っている企業が少ない点であり、地域という単位で担い手を確保する育成コンソーシアム等を設立して運用する必要がある。
ナレッジマネジメントによる効果とデメリット
熟練技術者が個人で保有する暗黙知を極力文章化して形式知としてOFF-JTの一部に取り入れ、知識を伝承していく仕組みをナレッジマネジメントという。ナレッジマネジメントを実施することでOJT環境による差(現場環境や指導員)を最小化できたり、個人が自分のタイミングで文章を見返すことができたり、組織として体系的な知識を保持することで熟練技術者の育成の再現性を高めることができる。
デメリットはナレッジマネジメントの実施が技術的に難しい点がある。熟練技術者の持つ暗黙知を分解して形式知化すること、それらをまとめる作業、まとめた形式知を使って指導する人材の不足などがあり、知識を伝承する土壌を整備することが難しい。
関連リンク①(小論文の回答例)
関連リンク②(技術力確保についてまとめた記事)
資金不足
- 我が国の社会資本は1950年代から1970年代の高度経済成長期に多く建設され、建設後50年を迎え更新期となるものが多くなり、補修作業が必要となる。具体的には2013年度(平成25年)の維持管理更新費約3.6兆円に対し、10年後の2023年(平成35年)には5.1兆円まで増大することが分かっている。
- 一方で建設投資額は1992年(平成4年)の84兆円をピークに2010年(平成22年)は42兆円まで低下し、現在は50兆円程度まで盛り返しているものの今後増え続ける社会資本の維持管理・更新に対して十分賄えるものとはいえない。
- このような状況を打破するためにPFIやPPPを促進させ民間の技術力や資金力を活用していく必要がある。特にコンセッション方式の活用が有効であると考える。コンセッション方式は、国や自治体が施設の所有権を持ち続けたまま民間事業者に運営権を付与するものであり、国や自治体が運営権の対価を徴収することで財政負担を軽減する
- (PFI・PPPは実際に導入してみると破綻している事例もあり、原因は採算性の見通しが検討を外れてしまっているということがあるそう。前例・実績が少ないため精度の高い見通しが立てられないのではないかと個人的に感じています。)
- 道路橋を例にすれば、建設後50年を経過している橋梁は、2023年(平成35年度)に約40%、2033年(平成45年度)に約65%程度に急増する。
▼PFIの定義、メリット・デメリットが分かるWebページ
モニタリング技術の活用による点検作業の省力化
点検作業は数年に1回実施される。次回点検や補修予定時期までに劣化が危険な状態に進行する可能性がある場合は、常時観測が必要となる。常時観測作業を人力で行うには、作業人工面やコスト面で困難であるため、センサーを用いたモニタリング技術を活用する。具体的には疲労亀裂が発生すると予想される箇所へ検知線を貼付け、その電気抵抗をモニタリングすることで点検を自動化し、省力化を図ることが考えられる。また、河川部や高所における近接目視点検では車線規制や大がかりな足場が必要となるため、ロボットを活用して点検作業の省力化を図る。具体的には、無人飛行体(UAV)や鋼桁を自走するロボットなどが考えられる。
機器に搭載した小型カメラにより、近接画像を取得することで、近接目視点検を代替する。
プレキャスト化のメリット・デメリット
プレキャスト化のメリット
- 工期の短縮
- 現場作業の省力化・省人化
- 品質管理および検査等の現場管理の軽減
- 安定した環境での製作による品質の安定
- 建設現場における環境負荷の低減
- 建設現場における安全性の向上
- 部材性能の確認が可能
- 建設現場の空間的制約や環境条件の制約への対応
- 特殊な材料を使用した耐久性の向上(工場製作では特殊材料は使用しやすい)
- 軽量化による効率化
プレキャスト化のデメリット
- 地下構造物やトンネルなど水密性が求められる場所では、プレキャスト部材の接合部の止水性能に劣る
- (構造上、接合部の数が多くなるため適切な処理をしなければ、水や塩化物イオン等の劣化因子の影響を受け、早期に劣化する恐れがある。)
- 作業の簡略化により型枠大工・鉄筋工の技術が衰退する
- 運搬上の制約を受ける
プレキャストの普及率
- 北欧の普及率は40%であり、日本の普及率は12%~13%である。
高流動コンクリートのメリット・デメリット
高流動コンクリートのメリット
- 締固めせずに充填性が確保されるため現場作業における作業を省略することができる。
- 棒形振動機による締固めが困難であることが想定されていた過密配筋部への適用が可能となる。
高流動コンクリートのデメリット
- 品質の変動が大きく、特に細骨材の表面水率の変動によりフレッシュ性状が大きく変動し、流動性等の所要の品質を確保することが難しい。
- 通常のコンクリートよりも高性能AE減水剤を多量に使用するため材料面のコスト増が挙げられる。
- ブリーディングがほとんど生じないため、表面の急激な乾燥に伴うプラスティック収縮ひび割れが発生しやすい。
CIMの導入背景、効果、リスク
導入背景
現在の建設生産システムは工程ごとに分離されており、施工および管理における連続性がなく、現場での問題発覚による出戻りや施工時の留意点などの問題点の共有が無い状態となっている。
効果
建設生産システムとして「CIM」を導入することにより3次元データを全工程間で共有することで図面などの情報の見える化や事前検討が簡単になり、手戻りや想定外を排除することができ、全体として効率化・高度化が図られると考える。
リスク
リスクとして、CIMが高価であり容易に導入できるものではない点がある。また、CIMを操作する技術者が少ないことも課題である。さらに、必要な情報をどの程度追加するか不明確であることも今後明確にしていく必要がある。業界全体としてCIMを導入する人材を確保するために新規で教育制度を設けることも検討すべきであると考える。
コンクリートを調整する方法いろいろ
①単位セメント量(単位水量)を低減する方法
- 材齢の長期化:配合強度の管理材齢をできるだけ長期にとり、単位セメント量を低減する。
- 減水剤の使用:高性能AE減水剤、流動化剤などの化学混和剤の使用により、単位水量・単位セメント量を低減する。
- 粗骨材最大寸法の増加:粗骨材最大寸法を大きくし、単位水量・単位セメント量を低減する。
- 良質な骨材の使用:所要のワーカビリティーが得られるような良質な骨材を使用し、できるだけ単位水量・単位セメント量を少なくする。
- 施工でカバー:施工上、所要の品質が得られる範囲で低スランプとし、単位水量・単位セメント量の低減を図る。
②乾燥収縮を低減するる方法
- 単位水量を低減する。
- 1.減水剤を用いる。
- 2.粗骨材の最大寸法を大きくする。→流動性が増すため単位水量が低減できる
- 3.良質な骨材を使用する。→ワーカビリティーが改善される。
- 骨材量を多くする
- 湿潤養生を5日以上行う
- 型枠をできるだけ長く存置する
- 風、日光、急激な温度変化を避ける
- 乾燥収縮が小さい骨材を使用する→石灰石骨材など
- 弾性係数が大きい骨材を使用する
- 収縮低減剤、膨張材を使用する
- (鉄筋量を増やし、ひび割れ幅を抑制する。)
- (目地を設け、計画的にひび割れ発生箇所を特定する。)
③ブリーディング量を低減する方法
- ブリーディングを小さくする。
- ①コンクリートの打込み速度の規定内とする。 → 壁や柱の打ち上り速度は30分あたり1.0~1.5m程度とする。
- ②落下高さの規定内とする。 → 打込み高さは1.5m以内を標準とする。
技術者に求められる技術者倫理、コミュニケーション、リーダーシップ、問題解決
技術者倫理
- 業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮した上で、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。
- 業務履行上、関係法令等の精度が求めている事項を遵守すること。
- 業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。
リーダーシップ
- 業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
- 海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
コミュニケーション
- 業務履行上、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。
- 海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し、関係者との間で可能な限り協調すること。
問題解決
- 業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること
- 複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。