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【H27、回答例】震災復興工事の加速のために検討すべき項目について【技術士・建設部門 コンクリート Ⅲー3】


こんにちは、masaです。技術士二次試験の対策として過去問の回答例を準備するということをしています。回答例集はこちらからどうぞ。

 なお、内容については独断と偏見まみれのため、自己責任により参考にしていただければと思います。

 内容については、もっといい回答が思い浮かんだら変更したりします。

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問題文(全文)

「Ⅲ―3 東日本大震災から4年以上が経過し、復興事業が各地で進められているものの、入札不調、工事進捗や予算執行の問題等から復興工事の遅れが目立っている。このような中で、復興事業に影響のある社会的背景を考慮し、以下の問いに答えよ。

(1)復興工事が遅れている現状を踏まえ、特にコンクリート構造物の建設を加速する上で検討すべき項目を、建設分野に携わる技術者としてハード・ソフト両面の多様な観点から述べよ。

(2)上述した項目のうち、あなたが重要であると考える技術的課題を1つ挙げ、実現可能な解決策を2つ提示せよ。

(3)あなたが提示した解決策がもたらす効果を具体的に示すとともに、想定されるリスクやデメリットについて記述せよ。」

 

原文(案)

(1)復興工事を加速するために検討すべき項目

1-1)現場作業の効率化

 コンクリート構造物は、建設躯体工事(とび工・鉄筋工・型枠工)などの異なる技能者が必要となる労働集約型作業である。しかしながら、建設躯体技能者は社会資本投資の縮減による賃金の低下や労働環境悪化などにより減少し、生産性の低下が大きな問題となっている。

 このような現状を克服するため、現場作業の省力化や効率化することを検討すべきと考える。

1-2)一時的建設需要増大による人員確保

 近年、震災復興事業の本格化や東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う首都圏の社会インフラ大規模更新など特定地域において比較的短期な建設需要が増大している。このような状況の中で、労働環境の改善、職業環境の充実を図り国内での人材確保に取り組んでいるが、急激な建設需要増大に対応できていないことが現状である。よって、国内での人材確保を基本としつつ海外労働者の確保・拡大を図っていくことが必要である。

1-3)PFI、PPPの促進

 近年我が国では、社会保障費の増大や既存インフラストックの老朽化などにより財政的に厳しい状況が続いている。さらに自治体では、技術者数の削減や予算縮小により発注手続きや財源確保などより一層状況が深刻である。このような現状の中で、PFIやPPを促進させ民間の資金や技術力を活用し自治体負担を軽減していくことを検討する必要がある。

(2)重要である技術的課題と実現可能な解決策

 重要である技術的課題として「現場作業の効率化」を挙げ、実現可能な解決策を以下に述べる。

2-1)部材のプレキャスト化・標準化

 建設現場における作業を省略する目的で部材のプレキャスト化・標準化が有効であると考える。さらに鉄筋のプレハブ化や型枠をプレキャスト化とすることで鉄筋加工作業や型枠の設置作業を省略することができ効率化が期待できる。さらに部材寸法の規格を統一することで組合せ作業の単純化や部材を作成する工場作業者・管理者の負担も少なくできるなど全体最適による効果が期待できる。

2-2)建設生産システムの効率化

 現在の建設生産システムは工程ごとに分離されており、施工および管理における連続性がなく、現場での問題発覚による出戻りや施工時の留意点などの問題点の共有が無い状態となっている。

 建設生産システムとして「CIM」を導入することにより3次元データを全工程間で共有することで図面などの情報の見える化や事前検討が簡単になり、手戻りや想定外を排除することができ、全体として効率化・高度化が図られると考える。

(3)解決策がもたらす効果およびリスク

3-1)部材のプレキャスト化・標準化

 効果としてプレキャスト製品は工場製作であるため天候や作業環境の影響を受けにくく、品質確保を見込むことができる。部材の標準化により現場作業、工場作業の単純化により作業の効率化を見込むことができる。

 リスクとして構造上、接合部の数が多くなるため適切な処理をしなければ、水や塩化物イオン等の劣化因子の影響を受け、早期に劣化する恐れがある。また、接合部自体の強度の確保といった問題もある。工場製作のため工場の製造容量がひっ迫している場合納期が掛かることがあるため事前に検討を行う必要がある。

3-1)建設生産システムの効率化

 効果として、3次元データで可視化・共有化されるため合意形成が早くなる、設計ミスや手戻りの減少・配筋干渉の容易、施工順序の明確化・数量計算手間の減少などが改善でき建設システムの効率化・高度化が図られる。

 リスクとして、CIMが高価であり容易に導入できるものではない点がある。また、CIMを操作する技術者が少ないことも課題である。さらに、必要な情報をどの程度追加するか不明確であることも今後明確にしていく必要がある。業界全体としてCIMを導入する人的鰌を形成するために新規で教育制度を設けることも検討すべきであると考える。

 

コメント

  • 社会資本整備系の問題で検討すべき項目は①人手不足、②資金不足、③生産性不足の流れにしようと決めています。
  • 人手不足は低賃金・休日不足による入職者の低下、現職者の離職(現在340万人いる技能者が今後10年間で100万人離職する)を問題として取り上げると決めています。
  • 資金不足は建設投資額が低迷する一方で、社会資本の更新費用はかさむため、不足する資金を賄うためPFI・PPPを活用すると書くと決めています。
  • 生産性不足は上記2点により生産性が不足することを書き、限られた人員、限られた資本で生産性を最大化できるよう効率化・省力化が必要ということを書くと決めています。
  • 結局、人手不足も資金不足も実際解決するのが難しいので生産性不足を取り上げ、プレキャストとか、CIMとか、ICTについて書いておくつもりです。