思考酒後

自分に入ってきた情報を定着、深化するために文章化

MENU

【H27、回答例】既設構造物の耐震設計【技術士・建設部門 コンクリート Ⅱー2-3】


 こんにちは、masaです。技術士二次試験の対策として過去問の回答例を準備するということをしています。回答例集はこちらからどうぞ。

 なお、内容については独断と偏見まみれのため、自己責任により参考にしていただければと思います。

 内容については、もっといい回答が思い浮かんだら変更したりします。

f:id:masa_mn:20190430084243j:plain

 

問題文(全文)

「Ⅱ―2―3 既設のコンクリート構造物を活用し、新たに部材や構造物を増設又は増築して一体化する改修工事の設計に取り組むことになった。このような事例として、耐震設計が必要な既設コンクリート構造物の工事計画を1つ想定し、この業務を遂行するに当たり、下記の内容について記述せよ。

(1)想定した工事計画と耐震設計を行うために調査すべき項目

(2)耐震設計に関する業務手順とその内容

(3)合理的な耐震設計とするために留意すべき事項」

 

 

原文(案)

(1)工事計画と調査すべき項目

 想定した構造物は、昭和56年以前に建築された小学校校舎(RC造・ラーメン構造)である。耐震補強工事は、児童の居ながら施工で、鉄骨補強ブレース補強が予定されている。

 耐震設計を行うために調査すべき項目は、①建物概要調査と②現地調査がある。

①建物概要調査

 既存建物に関する資料を収集する。収集する資料は、1)設計図書と竣工図、2)被災歴・改修歴、3)地質調査結果である。なお、不足データは現地調査で補うこととする。

②現地調査

1)設計図書と竣工図の照合あるいは図面復元

 建物調査で設計図書と竣工図がある場合は、照合を行い、なければ部材寸法や配筋調査(非破壊検査、はつり調査)を行い、既存建物の図面を復元する。

2)各種材料調査

 コア抜きを実施し、コンクリートの圧縮強度、中性化、塩化物量を確認する。鉄筋は引張強度、錆の発生について目視確認する。

3)外観目視調査

 ひび割れ、剥離・剥落などの目視で外観調査を行う。

(2)耐震設計に関する業務手順とその内容

①調査の実施・整理

 上記の項目について調査と既存資料から分かる構造物の情報を整理しておく。

②現況図の作成・耐震診断の実施

 調査結果を含めて現況図(意匠図・構造図)を作成し、現行基準に基づいて耐震診断を実施する。

③耐震性能の判定・補強工法の選定

 耐震性能を判定し、性能が不足しているようであれば耐震性能、施工性、工期を考慮し、総合的な観点から補強工法を選定する。

(3)合理的な耐震設計とするために留意すべき事項

・居ながら施工となることが多いため施工性に十分留意する。

・耐震設計は構造特性を考慮し、強度型補強とするか、靭性型補強とするか決定する。また、偏心や剛性の改善も考慮して設計を行う。

・新旧構造物の一体化が図れるような接合部の構造とする。解析を実施し、新旧部材の挙動を把握しておく。

・必要に応じて劣化補修も併せて行う。