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【H29、回答例】インフラ維持管理のための技術的課題と解決策【技術士・建設部門 コンクリート Ⅲー4】


 こんにちは、masaです。技術士二次試験の対策として過去問の回答例を準備するということをしています。回答例集はこちらからどうぞ。

 なお、内容については独断と偏見まみれのため、自己責任により参考にしていただければと思います。

 内容については、もっといい回答が思い浮かんだら変更したりします。

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問題文(全文)

「社会インフラの高齢化・老朽化に伴い、その維持管理のための予算や人材の不足が深刻化している。その中で、確実かつ効率的なインフラの維持管理を行うためには、技術開発等のハード面及び仕組み作り等のソフト面の双方での対策が求められている。このような状況を背景に、多様な観点から以下の各設問に答えよ。

(1)コンクリート構造物の維持管理を確実かつ効率的に行うため、あなたが重要と考えるハード面の技術的課題を2つ挙げ、それぞれについて実現可能な解決策を1つずつ提示せよ。

(2)コンクリート構造物の維持管理を確実かつ効率的に行うため、あなたが重要と考えるソフト面の技術的課題を2つ挙げ、それぞれについて実現可能な解決策を1つずつ提示せよ。

(3)上記(1)であなたが提示した解決策から1つ、(2)であなたが提示した解決策から1つを選び、それぞコンクリート構造物の維持管理に適用した場合の効果および想定されるリスクやデメリットについて記述せよ。」

 

ポイント

  • 人材不足、社会インフラの更新、機械化、予防保全といったキーワードはどの問題でも使い回しがしやすく、かなり使い勝手がいいので、自分の中でストーリーを持って転用が効くように準備しておく。
  • 人材不足であれば、『高齢により技能者が今後10年で340万人から100万人離職する』、『若手入職者は休日、賃金が少ないことから減少傾向』。
  • 社会インフラの更新であれば、『1950年代から1970年代の高度経済成長期に建設され、建設後50年を迎え更新期となるものが多くなり、補修作業が必要となる』
  • 機械化であれば、『社会インフラの更新期であるのに対し、人手不足となっているため、それを解決するために点検などの作業を行うために機械化を導入する。』
  • 予防保全であれば、『事後保全型の管理とすると更新期を管理できなかったり、損傷が大きくなってからの対応となるので結果としてライフサイクルコストが高くなったりするため、予防保全型の維持管理に切り替える必要がある。』
  • 当然、どんな手段を選んでもメリットの他にデメリットもあるため両者を書き出せるように理解しておく。
  • 機械化であれば、管理を機械任せにせず、人の手をある程度介入し、所定の品質が保たれる流れを確立する。予防保全であれば、点検方法・診断方法を標準化し、人によって異なる結果とならないような教育に留意するなど。
  • 結局、機械と人、方法と人といった具合に人が介入していることなので人の教育を徹底したり、人が結局の管理の鍵となるような結語とする論文が好まれている気がするし、自分自身大事だと思う。

  

原文(案)

1.はじめに

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に建設され、これから更新期を迎える。一方、高齢作業者の離職、若手入職者の減少といった人材不足の深刻化しており維持管理する人材の問題がある。現在ある社会インフラのライフサイクルコストを低減し、最大限活用するためにハード面・ソフト面、既存技術の活用・新規技術の開発など多様な観点からこれからの社会インフラの維持管理について以下に論じる。

(1)維持管理のためのハード面の技術的課題

①インフラの一斉更新への対応

 我が国の社会インフラは高度経済成長期に建設され、一斉に建設後50年を迎え更新時期に突入する。更新時の対応としては点検・診断・補修方法の決定・補修の実施の流れとなるが多大な手間と費用が発生するという課題がある。

 解決策として点検~補修の実施までの工程の中に新技術であるICTを用いた手法を取り込むことで一部あるいは全部を機械化することで省人化・省力化を図る。

②整備困難なインフラへの対応

 インフラの中には急斜面や狭隘な場所に設置されているものもあり、整備するのに時間や手間を要することが課題として挙げられる。解決策として点検を機械化することであり、今まで人によって管理していた部分を機械に置き換えることで効率化できると考える。

(2)維持管理のためのソフト面の技術的課題

①事後保全による維持管理

 現在の維持管理手法は構造物の劣化が顕在化した段階で補修を行う事後保全型の維持管理手法としていることが多い。事後保全型を用いると結果的にライフサイクルコストが大きくなることや補修時期が管理できず、一斉に補修対応せざるを得ない可能性があるというデメリットがある。

 解決策として、予防保全型維持管理手法へ移行することでライフサイクルコストを低減し、補修時期を管理し、補修対応の平準化を図る。

②人材の育成

 現在、約340万人いるとされている建設技術者は今後10年で約100万人離職するとされている。一方、若手入職者は賃金・休日が少ないという理由で減少傾向にあり、所定の技術力を有した維持管理者が不足するという課題がある。

 解決策として、実務を通した学習:OJTと座学・知識を通した学習:OFF-JTを相互補完的に実施し、効率的かつ効果的な教育を実施することが挙げられる。

(3)ハード面・ソフト面の解決策の効果および想定されるリスクやデメリット

①ハード面:ICT手法による機械化

 機械化を有効に活用することで点検~補修に至るまでの工程において一部あるいは全部を機械化することができ、今まで人が作業していた分の手間と時間を省略することができ、同じ人工で多くのインフラを維持管理できることが期待できる。

 ただし、機械それぞれに得意・不得意があるため作業に対する向き・不向きについては人が検討して実施したり、経過観察して調整したりする必要があり、また、機械の点検による所定の検査品質が確立するまでは定期的に人の手で点検を実施し、両者の品質に相違がないか確認する必要がある。機械化によるデメリットを補うためには、機械ごとの特性を洗い出し、その機械の弱点を補完できるような機械の開発に着手する必要がある。

②ソフト面:予防保全型の維持管理

 予防保全型の維持管理とすることでインフラの長寿命化に繋がり、ライフサイクルコストを低減したり、補修時期の見通しが立つため、補修対応の平準化が期待できる。

 予防保全型の維持管理は定期的な点検と診断を繰り返すこととなるが、点検方法、診断方法が点検者によって異ならないように標準化したり、正しい方法を初期教育したりする必要がある。また、それぞれのデータを保存・運用するためのデータベースを準備する必要があるし、データベースの扱い方についても共有し、ITリテラシーを高めておく必要がある。点検方法からデータの扱い方まで標準化し、適切な人材教育が肝要となる。