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【H29、回答例】短繊維を用いた繊維補強コンクリートの効果と製造上の留意点【技術士・建設部門 コンクリート Ⅱー1-6】


 こんにちは、masaです。技術士二次試験の対策として過去問の回答例を準備するということをしています。回答例集はこちらからどうぞ。

 なお、内容については独断と偏見まみれのため、自己責任により参考にしていただければと思います。

 内容については、もっといい回答が思い浮かんだら変更したりします。

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問題文(全文)

「Ⅱー1-6 コンクリート構造物又はコンクリート部材に短繊維を使用することによって得られる効果を2つ説明せよ。また、どちらか1つの効果について、その効果を得るために使用される短繊維の種類と特徴、並びにその短繊維を用いた繊維補強コンクリートの製造上の留意点を述べよ。」

 

(1)短繊維を使用することによる効果

①ひび割れ抵抗性の向上

  • 繊維の架橋効果により、ひび割れ抵抗性を向上させる
    • 架橋効果とはひび割れの始点と終点に引張に抵抗できる部材(繊維)があることでひび割れの進展を抑制できる効果のことを指します。

▼架橋効果のイメージ図

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②爆裂の抑制

  • コンクリート構造物は加熱により爆裂する恐れがある。有機繊維を使用することで加熱時に繊維が溶融し、その体積により膨張圧を緩和することができる。

 

(2)爆裂の抑制を得るために用いる短繊維・ポリプロピレン繊維について 

  • 少量で爆裂抑制効果が期待できる。(0.1%Vol)
  • 繊維の分散性能が高い
  • 繊維混入によるコンクリートの流動性低下が少ない

 

(3)製造上の留意点

  • 均一に分散されるように試験練りを実施する。
    • 材料の投入順序、繊維の混入率、ミキサの種類の選定、練混ぜ時間、ファイバーボールが発生しないことを確認する。

 

原文(案)

1.短繊維を使用することによる効果

①ひび割れ抵抗性の向上

 コンクリート中に短繊維を混入させることで、架橋効果によりコンクリートに生じるひび割れの発生およびひび割れの進展の抑制できる効果を期待できる。

②爆裂の抑制

 有機繊維を用いることで火災時のコンクリートの爆裂を抑制することができる。有機繊維を混入させることで高温時・火災時に繊維が溶融し、その体積により火災時の膨張圧を緩和することができる。

2.爆裂の抑制を得るために用いる短繊維・ポリプロピレン繊維について

 少量のポリプロピレン繊維をコンクリート中に均一に分散させることで爆裂の抑制効果があることが確認されている。ポリプロピレン繊維は比較的分散性能が良く、繊維混入によるコンクリートの流動性低下の少ないという特徴がある。

3.製造上の留意点

 繊維補強コンクリートはその繊維がコンクリート中に均一に混入されていなければ所要の性能が得られない可能性がある。そのため事前に試験練りを行い、材料の投入順序や練混ぜ作業について確認を行い、ファイバーボールの発生がなく所定の繊維混入率が確保されていることを確認する。 

 

参考文献

http://data.jci-net.or.jp/data_pdf/22/022-01-1042.pdf