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【H29、回答例】スランプを大きくしたコンクリートの設計上、製造・施工上の留意点【技術士・建設部門 コンクリート Ⅱー1ー7】


 こんにちは、masaです。技術士二次試験の対策として過去問の回答例を準備するということをしています。回答例集はこちらからどうぞ。

 なお、内容については独断と偏見まみれのため、自己責任により参考にしていただければと思います。

 内容については順次変更する予定です。

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問題文(全文)

「Ⅱー1-7 コンクリートのワーカビリティーの向上を目的に、スランプを設計図書に示される値よりも大きくする場合(ただし、スランプで管理する範囲とする。)を想定し、コンクリートの配合設計と製造・施工の観点から、それぞれの留意点について説明せよ。」

 

背景

  • 近年の耐震設計により高密度配筋の断面が要求され、所定の断面性能を得るために流動性の高い大きなスランプのコンクリートが求められる。

 

設計上の留意点

  • コンクリートのスランプを大きくする方法は、①水セメント比・単位水量を大きくする、②高性能減水剤を使用する、増量する、がある。
  • ①とした場合は乾燥収縮、ブリージングの問題があり、②とした場合はコスト増、粘性の増大による施工難度の増加の問題がある。
  • 試験練りにより品質の確認を行う必要がある。

 

製造・施工上の留意点

  • スランプロスの程度を把握し、所定のスランプが得られる運搬計画を考える。
  • スランプに応じた締固め作業方法を確立する。

 

 

原文(案)

 近年のコンクリート構造物は耐震設計の考えに基づき高密度配筋であり、所定スランプでは充填不良となることが想定される。そのため今後、設計図書に示される値よりも大きくすることが想定され、その場合の設計上、製造・施工上の留意点を以下のように考える。

1.設計上の留意点

 スランプを増大させる方法は、①単位水量・水セメント比を増大させる、②高性能減水剤を使用する。増量するが挙げられる。

 スランプを大きくするとじゃんかや豆板といった初期不良の発生確率が下がる一方で、①の方法とした場合は、乾燥収縮量が増大したり、ブリーディング量が増大したりすることが挙げられる。

 ②の方法とした場合はコスト増となることや粘性が増大して施工性が低下することが挙げられる。

 いずれの方法とした場合でも事前に試験練りを実施し、上記のデータ測定を行い、品質が満足できるかどうかを確認する必要がある。

2.製造・施工上の留意点

 施工時に所定のスランプが得られるように事前にスランプロスの程度を把握し、生コン工場からの現場への運搬計画を策定する必要がある。

 締固め作業も従来の方法に囚われず目視確認し、材料分離のない適切な方法により施工を行う必要がある。