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構造物の非破壊検査方法について【技術士・建設部門 コンクリート】


 構造物の非破壊検査方法についてまとめます。

 高度経済成長期(1950年代後半~1970年代前半)に作られた構造物が50年を経過し、維持管理・点検についての技術がこれから益々必要になってくると思うので、そういう観点で技術士の試験としても出題されるようになると思っています。

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非破壊検査(全般)のメリット

  • 検査対象構造物を破壊せずに検査できる
  • 破壊検査方式に比較して短時間に多くの検査データを得ることができる
  • 大量の検査データをパソコンで解析できることにより、モデル解析による定量的評価に基づいた詳細な診断が可能である。
  • 効率的に構造物の保守管理ができる

 

対象:鉄筋コンクリート

電磁波法

 コンクリート中に電磁波を放射して鋼材の位置を探査する。

適用制限

 鋼材が密な場合(鉄筋間隔が10cm以下)や、かぶりが大きい場合(15cm以上)は精度が落ちる。

 

自然電位法

 腐食で変化する鉄筋表面の電位から、鋼材が腐食しやすい環境にあるか否かを評価する。

適用制限

 コンクリート表面が十分に湿っていることが必要で、乾燥している場合は適用できない。コンクリート表面が塗装されている場合や常に水に覆われている場合、エポキシ樹脂鉄筋や亜鉛めっき鉄筋といった表面がコーティングされている鉄筋を使用している場合は適用できない。

 

対象:コンクリート

反発度法

 シュミットハンマーなどを使って簡単にコンクリート強度を把握できる手法。強度をコンクリート表面の反発度との関連式から算定する。

適用制限

 部材厚が10cm以下の薄い部材湿潤状態にあるコンクリート面では正確な反発度を測定できない。

 

衝撃弾性波法

 コンクリート表面を打撃し、その反射波形から内部の空隙などの欠陥を調べる。超音波と同様に内部鋼材の影響を受けやすい。探査可能な深度は超音波法により深い(測定器によるが、5m程度まで)ので、基礎杭の根入れ深さや欠陥の探査に適している。

適用制限

 一方、超音波法で調べられるひび割れ深さの測定はできない。

 

赤外線法

 赤外線カメラでコンクリート表面を撮影し、表面温度の差で浮きや剥離箇所を探査する。探査精度は気象条件に左右され、雨天での探査は難しい。1日の中で温度の上昇時と下降時の2回、撮影するのが良い。

適用制限

 日射による表面温度を基に探査する場合は、表面から深さ5cm程度が探査できる限界となっている。

 

打音調査

 コンクリート表面を点検用ハンマーでたたき、打撃音や感触から浮きや剥離の有無を推測する。

適用制限

 現場で点検者が判断するので、記録を残すことが難しい。

 

超音波法

 コンクリートに超音波を伝搬させ、その速度からコンクリートの品質や空隙などの内部欠陥、ひび割れ深さなどを調べる。比較的浅い位置(測定器によるが、1.5m程度まで)の欠陥探査に向いている。

適用制限

 鉄筋の影響を受けやすく、鉄筋に音波が伝搬すると測定精度が低下する。

 

 

まとめ 

  • 電磁波:鋼材の位置を探査
  • 自然電位法:鋼材の腐食のしやすさを判定
  • 反発度法:コンクリート強度を推定
  • 衝撃弾性波法:内部の空隙などの欠陥を探査
  • 赤外線法:浮きや剥離を探査
  • 打音調査:浮きや剥離を探査
  • 超音波法:内部欠陥やひび割れ深さ