耐震補強の問題の対策を書いておきます。(2020年9月現在)
あんまり自信ないですけど、参考にしていただけたらと思います。
(地震だけに)
地震の種類
レベル1地震動:構造物の供用期間内に数回程度発生する規模の地震動。震度法(許容応力度法)によって照査。
レベル2地震動:構造物の供用期間内に発生する確率が極めて小さい強い地震動。地震時保有水平耐力法によって照査。地震時の挙動が複雑な橋梁に関しては動的解析によって照査。
目標とする耐震性能
耐震性能1:健全性を損なわない性能。(レベル1地震動が対象)
耐震性能2:地震による損傷が限定的で、機能の回復が速やかに行い得る性能。(レベル2地震動が対象)
耐震性能3:地震による損傷が致命的とならない性能。(レベル2地震動が対象)
構造物の重要度、残りの供用年数、施工のしやすさなどを総合的に判断して目標とする耐震性能を決める。
事前調査項目
現地調査を行う前に、適用した示方書、設計基準、設計図書、施工記録、過去の診断記録、補修・補強履歴等の記録を調べ、構造物の概要に関する情報を入手する。
耐震設計に関する業務手順とその内容
①調査の実施・整理
建物概要調査と現地調査から分かる構造物の情報を整理しておく。
②現況図の作成・耐震診断の実施
調査結果を含めて現況図(意匠図・構造図)を作成し、現行基準に基づいて耐震診断を実施する。
③耐震性能の判定・補強工法の選定
耐震性能を判定し、性能が不足しているようであれば耐震性能、施工性、工期を考慮し、総合的な観点から補強工法を選定する。
耐震補強工法
- 橋梁全体の耐震性能を向上させる方法:慣性力分散工法、変位拘束工法
- 橋脚等の部材を補強する工法:鋼板巻立て工法、炭素繊維シート巻立て工法
- 落橋防止システム:けたかかり長、落橋防止構造
耐震補強の設計時の留意点
- 交差条件(建築限界・河川阻害)を考慮し、適用可否を明確にして検討を行う。
- 複合劣化は対策手法が確立されていないため、定期的な経過観察を行う。
- 劣化要因が塩害、対策工法が断面修復工法の場合、未対策部との境界におけるマクロセル腐食による再劣化の恐れがあるため、施工範囲を多少内側までゆとりを持たせる。
耐震補強の施工時の留意点
- 水深の深い湖等に設置されている橋脚であれば締切を設置するのに莫大な費用がかかる。その場合の対処法としては免震支承を使用する等支承条件を変更し、分担荷重を低減させる
- 施工スペースがなく、重機の侵入ができない場合は、人力での運搬が可能な炭素繊維シート巻立て工法がある。
- 鉄筋の断面欠損が著しく耐荷力不足であると判断される場合は使用制限を行った上で施工を行う。
マクロセル腐食とは
劣化部をはつりだし、フレッシュモルタルによって断面修復する場合に発生する。原理としては既存断面と新設断面において塩化物イオン量が異なることから既存断面から新設断面へ向かって塩化物イオンが移動することで電位差が生じ、電位差によって腐食電流が発生することで境界面に位置する鋼材の腐食反応が促進されるというものである。
マクロセル腐食の対策としては、①亜鉛からなる犠牲陽極材を鋼材に設置し、腐食電流を犠牲陽極材へと流すことで、鋼材自体の腐食を防止する方法、②断面修復する範囲を鋼材よりもより内側とすることで鋼材位置が境界面にあることを避けることでマクロセル腐食の影響を受けにくくする方法がある。
▽マクロセル腐食を招くはつり
▽マクロセル腐食を受けにくくするはつり
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