コンクリート工学からの抜粋【2018.5】
- 建設現場の生産性向上について未来投資会議の第一回会議(平成28年9月)において審議し、2025年までに生産性を20%向上することを目指す方針が決定された。
- 生産性向上の方策として、i-Constructionの活用が取り上げられている。
- i-Constructionとは、ICTやAIなどの革新的技術を導入することで生産性向上を目指す取り組みである。
- コンクリート分野の生産性向上に向けた取り組みとして、「規格の標準化」、「全体最適の導入」、「工程改善」の3つの柱が挙げられている。
- 「規格の標準化」において、現場打ちコンクリートの施工性向上は、①流動性を高めたコンクリートの活用や②スランプ規定の見直しについて検討している。
- ①は近年の高密度配筋や良質な骨材不足に対応するために、②は近年の一般的でない施工条件に現在の一般的な施工条件に対応した規格とのアンマッチを解消するために、必要であると考えられている。
- 現場打ちコンクリートの施工性向上のためには施工実験の実績を積み重ねる必要があるがこれには多大な費用と時間を要する。そのためシミュレーションにより予測する技術開発が必要とされている。
- BIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)は3次元形状・位置データを用いるシステムであり、これらを活用することでシミュレーションの精度が向上することが期待できる。
- (BIMとかCIMの説明に誤りがあるかも…)
私見
- コンクリート分野の生産性向上に向けた取り組みの内容にはICT・AIといった革新的な技術の活用がなく、基礎的な部分の改善による取り組みが主となっていると感じた。
- 「規格の標準化」における改善策を逆説的に捉えると、コンクリートの施工の困難さは現場で散見されており、これを改善することがコンクリート分野の生産性向上につながるととらえることができる。
- シミュレーションのためにはBIMやCIMを活用する必要があり、そのためには解析・分析に長けた人材が必要となると感じた。
- そういう観点で言えば初期教育や別途研修を社会全体で導入する必要もあると感じた。
- 物質的・体力的・資源的・時間的に制約があるため、現在の主流である実証主義から解析・分析と組み合わせた技術開発がもっと加速するように感じる。
- 「全体最適の導入」、「工程改善」についても同様に学べる論文や書籍を探したい。
参考文献
コンクリート充填シミュレーションへの期待、山田 義智(琉球大学)【コンクリート工学2018.5】
コンクリート工の生産性向上に向けた取り組み―全体最適の導入、矢作 智之【コンクリート工学2017.9】